令和5年3月度
諸経と法華経と難易の事
(御書一四六九㌻八行目~一一行目)
弘法・慈覚・智証の御義を本としける程に、此の義すでに日本国に隠没して四百余年なり。珠をもって石にかへ、栴檀を凡木にうれり。仏法やうやく顚倒しければ世間も又濁乱せり。仏法は体のごとし、世間はかげのごとし。体曲がれば影なゝめなり。幸ひなるは我が一門、仏意に随って自然に薩般若海に流入す。苦しきは世間の学者、随他意を信じて苦海に沈まん。
通釈
弘法・慈覚・智証の邪義を根本とするうちに、この義(法華経だけが随自意の正法であること)が日本に没して四百余年が経った。これは珠を石に替え、栴檀を凡木として売るようなものである。(このように)仏法が次第に逆さまになったことによって、世間も同じように濁り乱れてしまった。仏法は体であり、世間はその影のようなものである。体が曲がれば影は斜めとなる。幸いなのは日蓮の一門は、仏意に随って自然に仏の深い智慧に入る事が出来る。(それに比べて)苦しいのは世間の学者であり、随他意の権教を信じて苦悩に沈んでしまうのである。
【主な語句の解説】
○弘法
日本真言宗の開祖、道号は空海。入唐して恵果(けいか)から密教を学び、帰朝後高野山に金剛峯寺を建立して真言密教の邪義を弘めた。
○慈覚
比叡山延暦寺第三代座主・円仁のこと。伝教大師の弟子でありながら密教を受容し、比叡山の密教化を進めた。
○智証
比叡山延暦寺第五代座主・円珍のこと。空海の甥。大聖人は智証と慈覚を、開山以来比叡山に伝持されてきた「法華第一の義」を破壊した元凶とされている。
○栴檀
様々な臭いを除く優れた香りを持つ木。白・赤・紫等の種類がある。
○薩般若海
広大で深い仏の智慧(一切智)を大海に譬えた言葉。 随他意…衆生の性質や願望に応じて法を説くこと。仏自身の意に随って法を説く「随自意」に対する語。

