4-8 大安・仏滅・友引などの吉凶は現実にあるのか

カレンダーの日付ひづけのらんのところに、大安とか仏滅とかの文字をよく見かけますが、これについてはっきりとした認識にんしきをもっている人はきわめてまれでしょう。

これは六ようといって、先勝せんしょう友引ともびき先負せんぷ・仏滅・大安・赤口しゃっくからなる一種のうらないです。

もともと中国で時刻の吉凶占いとして使われていたものが、室町時代の末期まっき、日本に伝えられ、その後次第しだいに手を加えられて、江戸時代中期に現在の形になりました。

それ以来、広く社会に定着し現在では種々の行事を決めるうえでもちいられることが多いようです。

たとえば、葬式を友引におこなうことは友を引くからといってこれをきらい、婚礼こんれいなどの祝いごとは仏滅をさけて大安を選ぶというのが一般化された考えとなっています。

しかし友引は本来、先勝と先負の間にあって「相打あいうちともに引きて勝負なし」のよくも悪くもない日の意であって、今日的な意味いはまったくなく、たんなる語呂ごろわせにしかすぎませんし、仏滅も物滅ぶつめつからきており、仏教とはなんの関係もないのです。

六曜の決め方は、旧暦きゅうれきの日付けを機械的にっただけのきわめて単純たんじゅんなもので、旧暦の一月一日を、先勝、二月一日を友引、三月一日を先負というように、毎月一日ついたちを六曜順にあらかじめ配当はいとうし、二日ふつかからは順送りとして月が終わればそこで切り捨てるという方法なのです。

したがって、旧暦では日付と六曜が毎年同じでしたが、新暦しんれきになってからは、新旧のズレによって変化が生じ、人々のきょうを引くようになったと思われます。

このように六曜は、旧暦の日付にただじゅん割り付けしただけのものですから、これを根拠こんきょにして日々に吉凶をけて占うことはまったくナンセンスなことです。

出典:「正しい信仰と宗教」から転載